THE GUYS
映画なのか特集番組なのか分類が難しいところだが邦題は『9.11 あの日を忘れない』。
邦題を見て分かる通り、これは2001年9月11日のアメリカで起きた同時多発テロに巻き込まれた消防士たちの話だ。
文筆業を生業としている女性(シガニー・ウィーバー)のところへ、人づてにある男性が訪ねて来る。彼はニューヨークの消防士。彼の所属する部隊で亡くなった8人の消防士の葬儀に出て弔辞を読まなければならないが、頭が真っ白で何も浮かばないと彼女に助けを求める。
彼女自身ニューヨークで仕事をしており、惨禍を目の当たりにして自分の無力さを嘆く一人。それで彼の力になろうと決意したようだ。
彼女の最初の言葉は印象深い。
「弔辞というのは、どのように亡くなったかではなく、その人がどういう人だったかを言えばいいのよ」。
彼女が質問をし、彼が質問に答える。
近しい間柄の人の場合なら、いろんなエピソードが彼の口をついて出る。
でも、配属されたばかりの新人について彼はほとんど何も知らない。でも彼女の質問に答えるとほとんど知らない新人についても、彼がどのような人だったのか、そして人命を救うために自らの命を落とす覚悟があったという点においてはほかの消防士たちと同じであったことに気付く。
1人ずつ話を聞いて、彼女が文章をまとめる。
「読んでみて」と彼女が言う。
彼はとまどいながら声に出して読み始める。
「まったくその通りだ」と彼は感嘆するが、彼女は「あなたが話したことをまとめただけよ」と答える。弔辞はすでに彼の中にある。
そうやって数人の弔辞を作る作業を続けていくのを見ていると、ショッキングな映像が一切ないにもかかわらず、あの大惨事の大惨事であることがじわじわと伝わってくる。
私の記憶に間違いがなければ、驚いたことに、彼女はあの惨事で亡くなった人の中に飛行機に乗っていた犯人も含めて考えていた。
この作品の中には憎しみはない。悲しみがあるだけだ。
それは強いメッセージとして私に伝わってきた。
アメリカの正義がどうのテロリストはどうの、という作品ならまた私の反応は違っていただろう。
最後には8人のうちの1人の葬儀で弔辞を読み上げる彼の姿がある。
彼女といっしょに弔辞を作っていた力ない彼とはまったく違う。
その時でさえ、彼は持ち前の明るさを垣間見せてはいたけれど。
マイケル・ムーア監督の『華氏911』と合わせて、お勧め作品。
あの事件に対するマスメディアの報道はたくさん見てきている私たち。
多様性を確保するためにも、お勧めする。
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